Jan 21, 2009

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【サンフランシスコ】工業用の金属価格は、新興国からの需要増大見通しを背景に大方の金属が急伸するなど堅調に推移してきた。しかし、中国がブレーキを踏み、世界的なインフレが忍び寄る状況にあるため、金属トレーダーは再考したいかも知れない。

 アルミニウムとニッケルはここ数週間、いずれも上昇してきた。ロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場は昨年11%、ニッケルは31%それぞれ上昇した。

 昨年33%上昇した銅相場も2月1日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所のCOMEX部門で付けた過去最高値に並んだ。

 これらの相場上昇はいずれも、新興国での旺盛な金属需要は今後も続くとの見方が背景にある。

 投資調査会社アゴラ・フィナンシャルのクリス・メイヤー編集長は「新興国からの需要が工業用金属相場の大きなけん引役だったが、これらの金属はまた、需要が減速すると最も影響を受けやすいようだ」と指摘。食料品、石油、工業用金属などの上昇などにより、「新興国は急激にかなり打撃を受けている」と述べ、ブラジルや中国など主要新興国の中央銀行が金利を引き上げていることを挙げた。

 その上で「新興国での需要が減退するとみているため、産業用金属はセクターとして投資妙味がない」としている。

 16の新興国購買担当者景気指数をカバーするHSBC新興国指数は、製造業が持ち直すなか、2010年第4四半期に加速し、前期の54.2から55.7に上昇した。前期は過去5四半期で最低を記録していた。

 しかし、HSBCは1月10日付のプレスリリースで、第4四半期の投入価格上昇率が08年第2四半期以来の伸びを示しており、インフレ圧力が将来の成長にとって重大なリスクになると警告している。

 それが工業用金属相場の見通しを悪化させる。

 鉱山関連のニュースレターを発行するHRAアドバイザリー・ドットコムの編集者デービッド・コフィン氏は「経済成長がやや過熱している可能性を懸念している。中国やインドのほか複数の国でも、インフレへの懸念が強まっている」と指摘。「これに対応する措置が続けば、成長が鈍化し、原材料価格も影響を受ける可能性がある。食品価格の上昇が続けばなおさらだ」と述べた。

 こういった事態はすでに起きているかもしれない。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、1月の食料価格指数は過去最高を記録した。上昇は7カ月連続。 

吹き荒れるインフレ

 新興国では、可処分所得が増えている新たな中産階級が生まれており、コモディティ需要は増加するとの見方を強めている。

 コモディティ・ブローキング・サービシズ(オーストラリア)のマネジング・ディレクターであるジョナサン・バラット氏は、「人々の『嗜好』が変化し、貯蓄が増えるにつれ、食品やインフラに対する消費者の需要を満たすため、世界は一次産品の投入が一段と必要になる」と述べた。

 HRAアドバイザリー・ドットコムのコフィン氏によると、高額消費が成長サイクルの一翼を担っていたが、賃金の伸びが一様ではないため、低所得層は影響を受け、景気が損なわれるほか、金属相場も打撃を受けるという。

 さらに低所得の消費者は新興国の人口構成では依然大きな割合を占める。

 ハルガーテン&カンパニーの鉱山ストラテジストであるクリストファー・エクレストン氏は「古典的な経済上のトレードオフは銃とバターだ。現在は銅と小麦がそういう関係になっている」と指摘する。

 アルジェリアやルワンダなどの国はこうした難しい選択をする必要があるかもしれないが、中国とブラジルなどではこのトレードオフはないという。

 同氏によると、中国とブラジルでは豊富な流動性を活用して、物価上昇のカバーもできるインフレを容認しているようだ。大量の金属がBRICs諸国のインフラ整備に使われているため、「小麦か銅」かとの選択は消費者ではなく、政府によって行われている。

 しかしその状況も変化するかもしれない。

 エマージング・マーケット・ストラテジーズのウィリアム・ギャンブル氏によると、記録的な食品価格高騰は、貧困層が最も打撃を受けるため、社会不安を醸成する。多くの国では物価統制、輸出制限のほか、パニック買いが起こり、政府補助も行われるが、これはインフレ問題を悪化させるという。 同氏は、政府のインフレ対策は持続不可能になるとした上で「最終的に市場はバブル化し、工業用金属の需要は崩壊する」と指摘している。

 リスク相殺 

 もちろんリスクを相殺する方法があり、工業用金属相場の上昇が続く理由もある。

 経済の低成長は工業用金属の利用減少ではなく、利用の伸びの減速を意味すると指摘するのは、ハルガーテンのエクレストン氏。同氏によると、例えば中国の成長率が10%ではなく、5%に低下しても、銅需要はまだ、昨年実績よりも5%増え、「これのどこが絶望的なのか」という。

 また、価格は世界中で一様に上がるわけではない。ワイス・リサーチの天然資源アナリスト、ショーン・ブロドリック氏は「コモディティは米ドル建てで価格が設定される。自国通貨が対ドルで上昇すれば、価格上昇の影響を軽減できる」と語る。

 アルファプロフィット・ミューチュアル・ファンド・アンド・ETFニュースレターのサム・サブラマニアン編集長は「投資家は先進国で特定の金属需要が伸びる可能性に注目すべきだ」と指摘する。

 同氏によると、例えばパラジウムは米国など自動車販売の伸びで恩恵を受ける。世界の自動車販売は今年6%増加する見通し。

 パラジウム上場信託や、パラジウム・プラチナ・銀などを対象とするホワイトメタルズ・トラスト上場投信などはパラジウムに特化した投資には最適という。

 また銅も市場ではより大きな選好対象だ。

 ワイス・リサーチのブロドリック氏は「何はさておきドクター・コパー(銅価格)を注視すべきだ」と述べ、年内か来年ポンド当たり5ドルを付けると予想している。

 同氏は「ドクター・コパーは世界経済の体温と規模を図る上で重要で、状況は上向きになっている」と述べている。

 SKオプションズ・トレーディングのサム・カートレー最高経営責任者(CEO)によると、銅投資を模索する個人投資家は、iPath Dow Jones UBS Copper Subindex Total Return ETNといった上場投信証券(ETN)などに投資べきだとしている。

 同CEOは亜鉛、ニッケル、アルミについて「年内は底堅く推移するが、上値は限定的」と指摘している。

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